IMG_7939世の中1年近くもコロナ禍のなかで緊張を強いられ、自由に外出したり人と会ったりが極度に制限され、ずっと重苦しい気持ちで過ごしてきたような気がする。今もそうした状況は続いてはいるけれど、我が家では一つだけ大きな明るい出来事があった。10月半ばに3歳のフリーダを養女に迎えたのである。ブロンドのやわらかい毛と大きな目をしたこの器量よしの女の子はすくすくと育っている。夫と二人の静かで変化に乏しい暮らしが一転して、私は育児に追われ、夫は家中の危険物を撤去し、幼児にやさしい環境づくりに精を出した。ずいぶん悩んだ末、自分の年齢が子育てができる最後のチャンスと思えばそれにかけてみようと決断に踏み切った。まだ1か月しかたたないのにすでにストレスと体力消耗で後悔の念が無きにしも非ず。まあしかし、コロナに振り回されている暇もないほど忙しく、家の中に笑いが戻ってきたのはフリーダのおかげ。ずっと一緒にいようぜと心にきめた。IMG_7358
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実はこのフリーダは人間だと約3歳児、生まれて2か月ちょっとの子犬である。2年前に16年間一緒に暮らしたかけがえのない愛猫が亡くなって以来、2度とあれほどの猫は現れないからと、今後はペットを飼う予定もなく、好きな旅行でもして気楽に生きようやと思いながら2年が過ぎた。特に猫をかわいがっていた娘が少し前から犬を飼いたいと言い出しのだが、私としては犬は世話が大変だから、自分の自由や旅行を犠牲にしてまで飼う気など全くなく無視していた。ところがコロナ禍によるいつ終わるとも知れない自粛生活を強いられ、自分の都合に関係なく旅行どころか外出さえ気楽にできない状況に置かれて、少しづつ決意も揺らいでいった。IMG_1278近くのアパートで自活する娘は、子犬を飼ったら親に協力要請しようと初めから計画していたようで、ブリーダー側の厳しい要求(運動させる十分な時間、餌代や保険料払える経済力等々)にも、近くに庭付き一軒家に住む暇な親がバックについてますからと強調して、めでたく8匹姉妹兄弟の中で一番の器量よしのフリーダを譲り受けた(結構高かった!)のであった。
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今ではフリーダの都合で我々家族のスケジュールが左右され、フルタイムで働く娘は平日1日だけ子犬同伴で出勤し私を自由にしてくれる。それ以外は昼間私が育児担当だ。まるで幼稚園児の送り向かいのごとく出勤途中でうちに預けに来て、退社後つれに来る生活パターンが定着した。一応娘が名ばかりのオーナーだ。最初はよたよた歩きだったフリーダは日々目まぐるしい成長を遂げ、今では8キロの山道を完歩する持久力と動くものすべてを即座にとらえて追跡する瞬発力とを同時に備えた、世話する側にとってはまことに迷惑な幼児に育った。小型犬の雑種だからと甘く見ていたら、運IMG_7683動量と食欲はすごい。私も動く標的の一つとみなされ、起きてる間中追い回されて噛まれてフラフラの毎日。そんなフリーダも疲れて眠る間が私にとっては最高の息抜きタイム。しかしその寝顔の可愛いこと。疲れると人のぬくもりを求めて付いてきて膝枕で眠る。日が経つにつれこの環境に慣れ、改善も加えて次第に子犬の習性もわかりだした。振り回されるだけでなくこちらも少しは賢くなってくる。

この年で子犬を飼うなんて、やっと得られた自由時間をみすみす自分から捨てるようなもの、絵なんて描いてる場合じゃないよと自他ともに認めてあきらめの境地に達していたが、何のことはない、限られた時間だからこそ必死で有効に使おうと努力する気になれるもの。週1の昼間休みにはほかのことは投げ出して絵を描いてじっくりと自分の世界に浸ることにしている。


写真説明、左上から

  • 亭主にじゃれるフリーダ
  • フリーダの兄弟姉妹たち
  • 初対面
  • 娘の職場でデスクワークの手伝い
  • 評判の器量よし
  • 遊び疲れて眠るフリーダ